任意整理を検討する
信託銀行はすべて網羅できる。
このプライベートバンカーはかつて営業部で非上場企業を担当していたことがある。
営業では、「間接金融は経理部長を落せ。
直接金融は社長を落せ」を実行しつつ、同時に企業主から資産の運用、保全を頼まれ、アドバイスしてきた。
これが現在のプライベートパンキングにつながっている。
ある中小企業の公開を手伝ったのが縁で、個人的な資産運用のアドバイスをして喜ばれ、その社長から次から次へと新規公開企業のオーナーを紹介され、顧客にしている。
毎日超多忙で、朝から晩まで飛びまわっている。
本来仕事としては、支店の指導もあるのだが、その暇がない。
以下は、このプライベートバンカーの意見である。
起業家にとっては、公開という“大仕事”を成し遂げたあと、やってくる問題は“事業承継”という跡継ぎ問題である。
日本の相続税は高い。
相続は人生最大、最後のイベントである。
イベントは2つある。
本人と奥さんの相続である。
本人の相続を奥さんの有利な方向にアドバイスしておけば、奥さんや息子の財産管理の仕事も入ってくる。
マザコン世代が続いているせいか、最近の息子は母親にいろいろ仕事をしてみて、信託銀行ほど便利なところはないと実感している。
金持ちの企業家というのは苦労しただけにケチの固まりである。
日本の企業家は金持ちといっても資産は80%が不動産と自社株で、評価が非常にむずかしい。
会社の業績が悪くなれば株は下がり、資産はあっという聞に半分3分の1に縮んでしまう。
企業家は顧客になると、小さい手数料でなんでも相談してくる。
それにしては信託銀行の手数料は安すぎるとか「サービス」は金がかかるという認識が薄い。
しかも、手数料をもらえるか、という問題がある。
この低金利の時代に客の金融資産を預かつて信託報酬など手数料をもらうことはなかなかむずかしい。
コンサルタント料はもっとむずかしい。
BMの調査によると有料でも資産運用のアドパイスが欲しいという資産家は2〜3%にすぎないという。
しかし、手数料がもらえるようでないと本当の客のためのアドバイスはむずかしいし、商品の売買手数料だけでは信託銀行は立ちいかない。
その点、ラップ・アカウントはいいアイデアだ。
プライベートバンカーは財務の医者プライベートバンキングでは、スイス銀行やN誼券は「ライフプラン」なるものを持って回っている。
長銀―スイス銀行の提携後、急に外資系の銀行や証券会社のアプローチが多くなった。
彼らは顧客が欲しい。
その接点を日本の銀行や証券会社に求めているのだ。
彼らが客の本当の幸せを考えているか疑問に思う。
信託銀行の財務アドバイザーの重点業務は「遺言」、「中目続」、「不動産の有効活用」だ「資産運用」はあまり強くない。
財務アドパイザーは全国の大店に60人を配置している。
彼らとてすべての分野で万能ではない。
資産運用などは本部にそれぞれの部門の専門家をおき、支援体制をとっている。
プライベートバンキングに使っている商品は自社商品だけ、信託を多く使う。
信託は実績配当の金銭信託が中心だ。
この低金利で貸付信託はさっぱりだ。
いま増えているのは、貯蓄預金と外貨預金だけだ。
信託銀行全体でも、貯蓄預金はこのところ毎月100億円、外貨預金は200億円ぐらいは集まっているプライベートバンキングといってもまだ本格的ではない。
新聞などマスコミの方が先走っている。
まだ、ノウハウの蓄積をすすめているところだ。
ケーススタディを中心に勉強している。
パソコンに100以上のケーススタディを絵やグラフで収録しである。
全員バソコンを持って歩いている。
齢とった人や、忙しい人には絵や図を見せるのが一番だ。
この絵解きを使えば、たいていの問題は解決方法が見つかる。
プライベートバンキングは企画力と提案力だと思う。
そういう意味では人材が決め手であろう。
外国の投信会社や顧問会社から商品について一緒にやろうとアプローチしてくる。
いい商品とシステムを持っている。
日本で働く外国人はビジネス・スクールで訓練されていて優秀だが、“出稼ぎ”の臭いがする。
企業のオーナーというのは税金の悩みはっきない。
われわれの顧客は、時価100億円以上の自社株の所有者がずらりといる。
脱税ではなしいかに合法的に節税の方法を組立てるかがアドバイザーの力だと思う。
われわれは客の悩みを解決する財務の“病院”であり“医者”だと思っている。
プライベートバンカーは管理職になってはいけない。
もっとも、客のことばかり考えていたら管理職にはなれないだろう。
プライベートバンキングが日本で普及するには、あと5年から10年はかかる。
その噴には勢力地図が固まっているだろう。
ある信託銀行のOBは次のように述べている。
「プライベートバンキングは『哲学』が必要だ。
会社の方針がその時の社長次第でクルクル変わったりしてはいけない『哲学』とは筋の通った基本方針で、それが会社全体に時間的にも、空間的にも貫いている『考え方』のことだ。
私の経験から言えば、それは『顧客第一』ということだ。
日本ではあまりにも簡単に、しかも安易に使われているので人々は『顧客第一』と言っても信用しなくなっているのではないか。
『顧客第一』を言葉や標語で経営の柱に据えることは簡単だが、これを長い間実行し、守ることは容易ではない。
経営者にこの哲学があるか」。
彼が昔勤めた信託銀行では、かつて個人富裕層の開拓のキャンペーンを行い、大口顧客を1年間に1500口座も獲得したことがある。
しかし、その後の管理がまずし口座は半減してしまった。
バブル崩壊のせいもあるが、担当者の転勤、無理な運用、証券市場の崩壊による資産の目減りなどが原因である。
運用資産の目減りはやむを得ない点もあるが、銀行がプライベートバンキングの本質を充分に理解しなかったために中途半端に終始し、失速してしまった、と述懐している。
やはり、経営のトップに「哲学」が必要だということか。
銀行や会社の都合で運用方針が変わったら顧客はみじめなものだ。
顧客担当者や、資金運用者が銀行の営業方針で動いては駄目だ。
こういう意味からは、ノルマ体制で成り立っているような一部の銀行や証券会社にはプライベートバンキングは向かない。
プライベートバンキングではなんと言ってもスイスとアメリカ、それにイギリスだ「哲学」をもってやっているという点ではアメリカのモルガン・ギャランティ・トラストだろう。
さらに歴史的にはイギリス、スイスだが、“純粋”な形で残っているのはスイスだろう。
プライベートバンキングをやるのであればモルガンとスイスを参考にすると良いだろう。
「顧客第一」ということは、顧客のことをまず考え、顧客に充分なサービスを差し上げ、結果として手数料なり報酬をいただくことで、“会社の都合で手数料を稼ぐ”ということではない。
一流の人材でなければならない顧客は担当者が変わるのを非常に嫌がる。
銀行や、証券会社では転勤は当り前だが、プライベートバンキングに従事する担当者を転勤させては駄目だ。
顧客は担当者を信頼して命から二番目に大切なおカネのことも、肉親にも話せない悩みを腹蔵なく相談するのだから会社の都合で担当者を異動させるのは困るのである。
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